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もうだめぽ・・・


by usagiwokau
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第三話

ティキ「おーい。ゼル爺~。いるかー?」

真っ暗な大きな部屋に
ティキの声が響く。

ウィズ「・・・勝手に入っていいの?」




第三話:術式



だだっ広い部屋は
木箱で埋め尽くされ
真ん中に一本の通路だけがのびる。



ティキ「よっと。」

その通路を最後まで行った扉を
ティキは片手で開けた。



中には一人の老人が背中を向け立っていた。
何か作業しているようだが・・・

白髪(少々ハゲ)に
白い立派なひげ、
白衣を着ている。




ゼル「ノックぐらいせんか。」

少々いらついた口調でこちらを向いた。

ティキ「まぁまぁ、そう細かい事言うなって。
   よけいハゲるぞ」

反省の色のない声。



ゼル「まぁいい。
   ・・・で、その子は?」

ゼルはウィズに視線を変える。



ティキ「あぁ、そうだった、
   コイツに"術式"教えてやってくれ。

   才能あるっぽぞ。」


ゼル「お前・・・よくもそんなめんどくさいことを
   ずけずけとワシに押しつけれるな。」


ティキ「オレだってそんなメンドクサイことは
   ゴメンだよ」

ティキはへらりと笑って部屋を出ようとする



ティキ「んじゃ、ウィズ、このジーサンに
   術のこと教えてもらっといてくれよ。
   そのうちしたら迎えに着てやるから。」


ウィズ「あ、いや・・・ちょっと待っt」

完全にウィズのことを無視して
ティキは部屋を出て行った。


ウィズ「・・・あの・・・」

ゼル「・・・まったく。仕方ない。いつものことだ。」

ウィズ「・・・いつもあんな人なんですか?」

ゼル「あれよりもっとひどいときもあった」

言い出したくなさそうな声で
返事を返した。




ゼル「さて、お嬢ちゃん、名は?」

ウィズ「・・・ウィズ。」


ゼル「そうか、じゃあウィズ、
   術式についてついて、何か知っていることは?」


初対面の人に呼び捨てかよ。



ウィズ(あれ?でも何?

    術式? どっかで聞いた気が・・・)



ゼル「・・・知らんのか。」

ウィズ「まさかコレが術式?」


両手を広げその先に炎が作り出された。


ゼル「・・・まさか発動は知っているのに
   名称を知らんとは・・・」


ウィズ「・・・テクニックって呼んでるんだけど。」






ゼル「さて、まぁ術式は教えるより
   体で覚えた方がはやい。」

ゼルの前には大きな機械が立っている。


右側には転送装置のような物があって
左側にはモニターやボタン、キーボードなど、
多くの機械が設置されている。
間には嫌になるぐらいの量の
ケーブルがつながっている



ゼル「さて、じゃあここに入ってくれ。」

ゼルは右側の転送装置のような機械を指さした。



ウィズ「・・・何コレ?」

ゼル「VRシステムじゃ。
   人工の世界に人間を送り込むことができる。
   いいか?ここに入った後は術式しか
   攻撃をしてはいかん。いいな?」

ウィズ「・・・さっぱり事情が読み込めないんですが。」


ゼル「まぁとにかく入れ。」

このお爺さん・・・どっかティキに似てる・・・



いまいち納得できていないウィズは
ゼルの指示通りに装置の中に入った。


ゼルは左側の装置のボタンを
テンポよく打ち込んでいく。

モニターには広い部屋と床に入っている線、
クリーム色の壁が映っている。


ゼル「じゃあ行くぞ。」


転送装置が一瞬青い光を出したかと重うと
ウィズの姿は消え、
モニターの中に映っていた。

ゼルはマイクを手に取ると、



ゼル「おい、ウィズ、聞こえるか?」

ウィズ「聞こえるけど・・・どこ?ここ。」

ゼル「よし、今から敵を出し続ける。
   術式でその敵を倒せ。
   始めるぞ。」

ウィズ「あ、あの・・・だかr」



言いかけた途端に床から
ブロックで出来た人形が現れた。

ウィズ「・・・へ?」


ゼル「ホントに鈍いやつじゃな。
   そいつを術式で破壊しろ!」


ウィズは怒声に驚き言われるがままに
両手を人形に向けた。


ウィズ「ぇっと・・・アクセン!」

バァン!



両手から火の玉が飛び出し
人形をバラバラに破壊した。

ゼル「・・・フム。」



次々と同じような人形が
床からはい出してくる。


ウィズ「え?えぇ??」


ゼル「まったく、
   今からそのような人形を出し続ける!
   全て破壊しろ!」


ウィズ「あぁ、なるほど。」



やっと理解したようだ。

ウィズは一発ずつ
人形に火の玉を飛ばして破壊していく。



次々と現れる人形達、
それを順序よく破壊していくウィズ。

いつの間にかウィズは囲まれていた。

そして、

一斉に飛びかかってきた。



ウィズ「え!?やば!」

急いで両手を合わせて

フラス!と叫ぶ。



体の周りに氷がまとわりつき
近づいてきた人形を串刺しにしていく。


さらに「シャルフ!」

その串刺しにした剣を一本ずつ
両手のひらに付け、
人形を切り裂いていく。




ゼルはあごをさすりながら
モニターを見つめている。





床から少し色の違う
人形達が現れる。



ウィズ(なんか・・・すこし違うような・・・)

そのまま氷の刃で切り裂こうとしたが
刃が折れた。



ウィズ「!!」


すぐにバックステップで後ろに戻り
両手を構え、火の玉を打ち出す。

だが、さほど利いていないようだ。


ウィズ「ぇえ!?」


人形達は少しずつ近づいてくる。


ウィズ「えぇーと・・・あ!」

思い出した!みたいな声を発すると


ウィズ「スタック!」


掛け声をかけると雷が手から生まれ
人形達を襲う。




ゼル「・・・なかなかじゃな。
   となるとコイツはどうかな。」

ウィズは少々息切れている。



だが、休んでいる暇は無い。
次々と人形達が襲いかかってくるからだ。


不意に、背後に何かが現れた。

巨大な獣型の人形だ。



グォォォオオオオウ!

ウィズ「・・・ぇーっと?・・・」



もう気力の無い声でわかりやすい反応。
獣人形はウィズを踏みつぶそうとしてくる。



ウィズ「うわぁあ!」

危うく踏み潰されかけられた。
他の人形達は踏みつぶされたが。



ウィズは両手を獣人形に向け、
火の玉を打ち出した

が、全く利いていない様子。
人形はかみつこうとしてくる。


ウィズ「・・・うひぃ!」


ウィズは壁に向かって走り出す。
それを追う人形。

グルゥウ!ゴァアア!




ウィズは急に止まり
壁のスレスレを走り出す。

人形はベタなくらい壁にぶつかる。



その隙に手を床に着ける。



ウィズ「スラウル!」


床から木のツルが生え、
人形をとらえた。



ゥゥウウウウウウ・・・
ォオウ!



ウィズ「フェルマース!」


手には火の槍が形成されていく。

ウィズ「ハァァアアアアア!」







モニターには広い部屋と床に入っている線、
クリーム色の壁が映っている。

そこには、
小さな女の子が寝ている以外、
なにも無い。



第三話終わり    第四話に続く
by usagiwokau | 2006-06-14 23:41